小学生に宿題なんて必要ない!

教育

こどもに宿題をやらせるのって大変ですよね。
こどもは学校から帰ってきたら、ランドセルを置いて、すぐに遊びに行ってしまいます。
こどもが元気に遊ぶこと自体はとても良いことだと思う反面、勉強もそれ以上に頑張って欲しいと、危機感を募らせるのが親心かと思います。

宿題で学力は向上しない!

しかし、それほど危機感を持たなくても良いかもしれません。

宿題は家庭学習の題材として長らく支持されており、真面目に宿題に取り組むことで学力が向上すると多くの人が信じてきました。
しかし、宿題と学力向上の関係が深く研究され、小学生においては相関関係が認められないという驚くべき研究結果が発表されています。
小さいこどもへの宿題は学力を向上させないばかりか、勉強嫌いを助長したり、親子関係を悪化させたり、こどもの成長に悪影響を及ぼすなど、デメリットの方が多いと言うのです!

宿題の役割

宿題が学力向上に寄与しないという研究結果は、教育現場において広く認知されつつありますが、「宿題はムダだから廃止しよう」という学校はあまりありません。
なぜ学力向上に貢献しないと判明した宿題が、今なお振興しているのでしょうか?
教育現場で宿題の役割について訪ねると、次の2つの役割が期待されるとの回答を得ます。

  1. 学力の向上
  2. 家庭学習の習慣を身につけさせる

1の学力向上は様々な研究によって否定されましたが、2の家庭学習の習慣という役割が期待されており、宿題をやる意味は半減したものの、宿題は必要と考えているのかもしれません。

宿題信仰が見直し議論を阻む!

宿題による学力向上は否定されましたが、この結果は一般の人々の感覚と乖離しており、にわかには信じられないという人が多いかと思います。
これは、年齢が上がるに従って宿題の効果が顕著になってくる為です。
研究では、高校生以上の年齢になると宿題によって学力が顕著に向上することが分かっています。
大人の感覚で考えれば、宿題が学力向上に繋がると考えるのは自然なのです。

小学生の宿題と学力向上には相関が無いという研究結果が、学校などの教育機関などから保護者に伝えられる事は希で、教育に関心が深い一部の人達の中では知られていますが、一般の人々に広く知られていないという事もあり、宿題が多くの人に信仰され続けているのです。
学校側は、宿題があまり意味が無いと分かっていたとしても、反対意見を押してまで見直しの検討をしようとはしません。

仮に宿題を廃止にしたとします。
その後、学力の伸び悩みや、学力低下が見られた時には、真っ先に宿題の廃止がやり玉に上がる事は容易に想定できます。
学力と宿題との間に直接的な相関関係が無いとしても、それを証明し、宿題信仰者の理解を得ることは相当な困難が予想されます。
この様な背景から、従来の慣習を変えるような思い切った改革を断行する人はあまり出てこないのです。
宿題信仰に乗って波風立てない方が平穏に過ごせるので、仕方の無いことでしょう。

宿題で家庭学習の習慣は付かない!

家庭学習の習慣を付けさせるために、毎日継続して宿題に取り組ませるという考え方があります。

しかし、毎日やりたくもない宿題をやらされる事は拷問であり、勉強嫌いになるリスクの方が大きいと私は危惧してしまいます。

小さいこどもには学習に興味関心を持てるように促し、自分で学ぶ力を育てる事が、周りの大人がこどもにしてあげられる最善の教育だと私は考えます。
学習に興味を持ち自分で学ぶ力があれば、放っておいても興味のある分野を中心に学習するはずです。
いろいろな知識が身に付くのはワクワクするものです。
そして、ワクワクは好奇心の連鎖を生みます。
学習が楽しくなれば、自然な形で習慣化していくのではないでしょうか。

家庭学習の習慣付けの方法が宿題という考え方は短絡的であり、イヤイヤやらされる宿題によって学習が習慣化されたかのように見えたとしても、興味関心からの自発的行動で無い限り、宿題が無くなれば学習習慣も消えてしまうでしょう。

春休みなど宿題がない連休の、こどもの過ごし方を観察することで、家庭学習の習慣が付いているか確認することができます。

また、連休の最終日に慌てて宿題を片付ける様子は、多くの家庭で見られると思いますが、これは家庭学習が習慣付いていない典型的な例ではないでしょうか。

宿題は最小限に!

「睡眠時間」「家族との時間」「遊ぶ時間」は、子どもにとってとても重要な時間です。
宿題でこれらの時間を削ることは、こどもに悪影響を与えるとも言われています。

こどもが低学年の時は、学校が終わるのも早く、宿題もそう多くは出ないので、宿題が負担になることはあまりありませんが、学年が進んでいくと、帰宅時間が遅くなると同時に、宿題の内容も高度になってくるので、家庭で過ごす時間の内で、宿題に割く時間の割合が高まります。

このため、どうしてもスケジュールがタイトになってしまい、こどもに余裕が無くなります。
こどもには、いろいろなことに興味を持ち、思いを馳せる時間が必要なのです。
一見、ぼーっとしているように見える時間も、大切な時間なのです。
勿論、計画を立てて遂行する力も重要ですが、それが毎日ずーっとでは、こどもにとって良い生活習慣とは思えません。

遊びの中からこどもは、人との接し方や、上下関係、感情のコントロール、問題解決など、様々なことを学びます。
これら人として生きていくための基本を学ぶのです。
友だちと遊ぶ時間を削ってしまっては、人として大切な学びの場を奪ってしまうことになりかねません。

小さい頃に育むべきは「想像力」と「退屈をやり過ごす能力」だと、イギリスの哲学者ラッセルは主張しています。
つまり、人が退屈な時、ぼーっとリラックスして、自分のことや自分が欲するものを考えることで、創造性が育ち、やる気を起こさせ、潜在能力が発揮されるのだと。
こどもには退屈な時間が必要で、自ら退屈を克服しようと考え行動させることがとても重要なのです。

一方、宿題にはそれが効果的な時間が存在することが研究によって分かっています。

宿題の効果的な時間 : 学年 × 10分
(小学1年生からの通し学年で表し、中学1年は7学年とします)

小学生には宿題は必要ありませんが、やるならば、この時間以内で終わる量にすることが推奨されます。

宿題を見直す風土を!

東京都千代田区立麹町中学校や小金井市立前原小学校などでは、既に宿題をなくすという取り組みを実践しており、成果が上がっていたりします。
TVなどでも報道されているので、ご存じの方も多いのではないでしょうか。

人は皆が当たり前に考えている慣習やルールについて、あまり深く考えません。
完全に思考停止状態で、盲目的に正しい・守らなくては、と考える傾向があります。

しかし、当たり前な慣習やルールの中に、実は意味が無かったり、むしろ逆効果だったりすることが希にあります。

疑義が唱えられた問題に関しては、今一度、本当に有益なのか検討してみる必要があるのではないでしょうか。

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